私は人を家に招き入れるよりも、人の家に遊びに行く方が好きだ。なぜなら家を人が呼べる状態にするのがとても疲れるからだ。掃除だっていつもよりも気合を入れないといけないし、コーヒーやら紅茶やら茶菓子やら、あれこれ準備しておかなくてはならない。そんなに肩肘はらずにいつもの状態で出迎えればいいんだよ、とよく人に言われるのだけど、そこが悲しいかな、呼ぶからには恥ずかしい所を見せたくないという見栄っ張りが出てしまうのだ。
人を呼びたくない原因はもう一つあって、実はこちらの方が大きいかもしれない。実は今、我が家のトイレの調子があまりよくないのだ。トイレを流すとき、いつも流れるか流れないかでハラハラしてしまうという状態が、ここ数か月続いている。詰まったらゴムのやつで吸えば解決するのだけど、お客様がきたときにそんな状態を見せることなんてできない。そういうわけで、誰かがうちに来たいとなったときには、「ごめんなさいね、うちのトイレの調子があまりよくないもので…」なんて断る口実にしている。だけどあまりにもこの状態が続くと、「あのおうち、トイレを直すお金もないのかしら…」なんて思われるのも悔しいので、とうとう業者を呼んで解決してもらうことにした。すると長年の汚れがこびりついて、そこにトイレットペーパーなんかが積もって詰まりかけているとのこと。高圧洗浄機を使って掃除してもらうと、あんなに不安定だったトイレの水流が、まるで新品に戻ったかのようになった。やはりトイレの詰まりは自分で対処せずにプロに任せるのが一番だわね、と思ったのだった。
ただし、これで来客を断る理由がなくなってしまったので、また家をしっかり掃除して、人を招き入れないとな…。今度は洗面所の調子が悪くなってしまえばいいのに、と密かに思うのだった。